Photolog 003 四分円階段が繋ぐ家 ダイニング+キッチン
【Photolog 003 四分円階段が繋ぐ家 キッチン】
四分円階段が繋ぐ家、キッチンからダイニング、リビング方向を見返した写真です。
リノベーションであるこの計画では、既存のキッチンは当初L+Dから隔離された一室状態になったキッチンでした。
キッチンでの家事というものは旧来の住まいだと料理は料理、後片付けは後片付けと、その作業にこもるような形で個室型が多かったのは、料理は奥さんの仕事というように夫婦それぞれの役割が明確に区分されていた時代の名残でしょう。
現代では共働きや夫婦の在り方が多様化し、また核家族が標準である中では家事をしながらも子供に目を配ったり、リビングとダイニング、キッチンの役割は重複する部分が多くなり線引きは難しくなっています。
そういう中ではオープンなキッチンは、ダイニングやリビングと使いやすく連続し、現代的な家族の住まいでは選択されることが多くなってきました。
キッチンでの作業というのは長時間を過ごしますので、家族での団欒を感じながら作業をできるオープンキッチンと家族とともにいる精神的な充実と共に時間を過ごすことができます。
このキッチンでは、既存建物の広さを生かし壁に接続せずアイランド型に配置したことでキッチンの周りをまわる回遊動線となり、逆側からご家族が料理を手伝ったりという自由な動線をとることができます。
リノベーションの場合、既存の設備配管などを大きく変えることが配置的に難しい、またコスト的に最良でない場合もあり、この計画でもキッチンの位置を大きく変えることは難しかったのですが、配置方向を90度変え、リビングダイニングとの関わりを大きすることで、既存とは比較にならない使用しやすいキッチンとなりました。
壁面収納の面には、既存でその位置にあった電気盤などを仕込めるようするなど、既存設備や電気配線などの無理のない利用もよく考える必要がありました。微調整しました。
キッチンのデザイン・制作は匠龍木工さん。
木のキッチンにしたいという当初からの要望を汲んで、内装で採用したチェリー材の面材を使用し、白いメラミン材の面と組み合わせて、木でありながら軽快なイメージに仕上げて頂いています。
中心のアイランドではステンレス・木の質感でインテリアのアクセントとしながら、両サイドの収納は白い色で壁面収納とし目立たせないことでキッチンエリアのすっきりとしたバランスをとっています。レンジフードも製品をむき出しにするのではなく、白い造作のパネルで覆うことで存在をなるべく消すようにしています。
キッチンエリアとリビングエリアは扉のない代わりに動線を邪魔しない屋根型の垂れ壁で空間を柔らかくゾーニングしています。
インテリアで使用した樹種では、チェリーの無垢フローリングをベースに、カラマツ材3層合板、針葉樹合などを採用、すべてを同じ樹種ととするというよりは、樹自体の色で近い赤みが入った樹種を選定することで色合いの統一感を図りました。
写真:Yuta Ooseto PHOTOGRAPHY