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2015.10.28 建築視察ブログ

長崎・福岡へ その2


前回のブログの続きです。

端島 (軍艦島)へ。

今年2015年に軍艦島を構成遺産に含む「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」が世界文化遺産に登録された事で更に注目を集めているようで、見学ツアーへの参加も予約の際も空きがほとんどない状況でしたね。

廃墟の島としてがまず有名ですが、石炭の採掘のため100年ほどの短い時間に隆盛し衰退し無人島となった島です。

最大5200人ほどの人々が住み、当時世界一と言われる人口密度となり、日本最古の高層コンクリート建築物が建ち、年間100日ほどしか着岸できないと言われる荒れた海の中で人々が必死に暮らした所だったそうです。

めったにないという晴天の中、以前から廃墟建築物への興味もあり訪れたこの場所でしたが、圧倒的な非日常を生み出す朽ちた建築物群を見てガイドの話を聞き、資料を読むにつけ湧いてくるのは無常観に近い気持ちでしょうか。

恐竜の化石とは違い、近い過去に想像できる生々しく人々の生活の痕跡が残る廃墟は心に迫る史跡です。

今現在ある国は、都市は、建築は、そして人々は、未来の歴史から・世界から見て、何の目的で何を為しているのか、いないのか、為すべきなのか。

普段あまり考えられない、そんなことを色々と考えさせられる場所でした。

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船が進むにつれ海の上に「軍艦」のような廃墟の島が近づく様は映画を見ているかのようです。

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階段が黒いのは鉱員の靴裏の石炭の色がしみ込んだままなのだそうです。

過酷な労働の中、坑道から生きて戻ってこられなかった方々も多かったとの事です。

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こちらは同じく世界遺産を構成する遺産の一つであるグラバー邸。コロニアルスタイルのバルコニーと多角形した平面の各所から光あふれる内部空間が生み出す豊かさに驚きます。

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最終日は博多の屋台街を散策、同じ日本でも札幌にはない形の野外で飲食を楽しむ空間。

気候や風土の違いからグラデーションのように生まれる人を取り巻く環境の異なりはどこに行っても興味深いものです。

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