マレーシア その2
間が空いてしまいましたが、以前書いたマレーシアのブログの続きです。
マレーシアはとにかく暑い国で、赤道が近いので年中夏だそうで、あとは乾季と雨季があるだけ、昼間は35度程度まで上がります。その上行った時期は多雨で湿度が高い。
建築の特徴といえるのは、地震が少ないからなのか、日本人から見ると構造的には(施工的にもけっこう荒っぽい)大丈夫かというのが結構あります。躯体の状態で見るとクラックでボロボロだったり型枠精度が悪かったり。
景気がいいのか街中どこでも工事現場を見ることができます。現代建築的なものから、それぞれとても自由な意匠のモスクなどなど。
特徴といえるのは、暑い国なので日射を気にしてでしょうか、高いビルなどでも多くの割合で窓上に小さな庇がついています。
古めかしい集合住宅でも窓上にコンクリートで少し飛び出ていたり、高層のビルでも凹凸が多いなと思うと庇を伸長したデザインであったり。
写真がわかりづらいですが、鉄骨造のビル(泊まったホテル)でもちゃんと庇がありました。一番暑い、太陽高度の高い時間の日射を室内に入れない、北海道の住宅でも近年増えていますが、暑い国ならではの昔からの工夫ですね。
スコールも多いので、日射除けを兼ねた屋根付きの歩道も多く、外を歩くときはとても助かります。
もう一つ特徴的なのが、透かしの入った外壁、これも日射を直接入れないが、間接光や風は室内に取り込む工夫です。
意匠的にも精細で美しく、国のイメージに合ったアジア的な装飾にも見え、それでいてオープンエアな空間を環境的に気持ちよくさせる外壁、モスクなど祈りをささげる場所や、公共的な施設の周り等でよく見られました。
ひとつ前の写真と同じモスクの、屋内から見た写真です。反射のある床材に姿が映り、光が拡散され、柔らかい光の、それでいて宗教的な建物の性格に合って、荘厳な、硬い空気感を持つ、涼しげな空間となっていました。
これも同じモスクですが、縦長の柱の空間の天井のガラススリットからうっすらと光が落ちてくる、ちょっと今まで体感したことのない光が落ちていました。暑い国なので、こういった外と中の中間的領域の作り方が上手です。
話が飛びますが、マレーシアのマラッカという街は世界遺産の登録がされています。数百年かけてイギリス・オランダ・華人の様式が、例えば同じ建物を使い続けたことで入り混じった状態がインテリアから見られたり、そしてそれらが普通に現在まで残ってそのまま使われている、数奇な運命を生き続けている不思議な街です。
日本でもなじみ深い宣教師ザビエルの像があるセントポール寺院はその中でもメインの丘の上にある名所で、戦時下では拠点とされたこともあるそうです。
屋根は戦争で吹き飛んだのです、と言われながらも、(不謹慎ながら)あるべきところに屋根や窓のない建築から受ける感覚が面白かったり。
厚い壁の作る陰影であったりに刺激を受けたり。
最後、ブログはその3に続きます。