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2014.5.27 ブログ

シックハウス症候群と設計について


「シックハウス症候群」という言葉を多くの方が耳にしたことがあると思います。





ある種の化学物質、ホルムアルデヒドなどのVOCが建材や家具などから発生し、建物内部において濃度が高まり、それを体内に取り込むことで健康被害が発生することを言います。具体的には倦怠感・めまい・頭痛・湿疹・のどの痛み・呼吸器疾患などの症状があらわれる場合があると言われています。





住宅の気密化などが進み、またそういった接着剤や塗料などを多く含んだ化学建材が増えたことにより健康被害が増え、2003年に建築基準法の法改正で盛り込まれ、以後厳しい基準が課せられました。





整備前後で多くメディアなどでも取り上げられましたが、現在は名前は知っている程度、良くわからないけれど法律で規制されているから大丈夫じゃないか?と思っているくらいの知識の方が多いようなのでちょっと記事を書かせて頂きたいと思います。





2003年の法律の整備で決まったのは、大きく言うと住宅だと、「換気をたくさんする」(換気扇を規定回数以上空気を入れ替えられるよう稼働させる)、「建材にVOCを多く含むものは使えない」という2点で、これは 十把一絡げな法規というか、ごまんとある建物すべてを満たそうとするとこのような法規になりますが、ちょっと考えると、





「換気をたくさんする」→「建物の中でせっかく冷暖房機器で温めたり冷やした空気を外に捨ててしまう」





「建材にVOCを多く含むものは使えない」→「少量のVOCは認める、また住む人が後で買う家具に含まれるVOCは法で規制しない」





という事になります。





換気扇に関しては、寒冷地の場合換気扇による冬の熱の負荷(熱を逃がす要因)は全体の数割を締めているため、単純に換気扇を動かす事がランニングコスト的にかなりのデメリットになります。熱をあまり逃さない熱交換型の換気扇などもありますが、イニシャルコストが上がったり、冬季のデフロス(内部凍結を溶かす)電気代が大幅にかかったりというデメリットもあったりするため、ランニングコストのバランス等含め、総合的に設計上選定していくことになります。





また、築後の年数が経つに連れVOCは放散していくため減少すると言われていますが、それを考慮し続けず換気扇は回り続けます。立派な設備を「そのためだけに」付けたのだとしたら数年後には無駄になると言えます。





そのためにどの程度の設備を設けるのが良いのかはその建物の気密性や、お施主さんの考え方、生活の仕方、イニシャル・ランニングコストの考え方、健康状態、建物の形状によってはパッシブ換気を検討するなど、画一的に設備を設定すればいいのではなく、その建物ごとで検討・設計する必要があるのです。





また、当然建築と一緒に設計される家具は大丈夫なのですが、「住まわれた後で買う家具」のVOCに関しては見落としがちで、例えば家具のカタログなど気にして眺めて頂くとわかりますが、4☆☆☆☆対応材料仕様、など書いているものとそうでないものがあると思います。





私見ですが、国産のしっかりした家具には前者が多く、海外産など(または由来が明示されていない)の家具で廉価に販売されているものに後者が多いと思っています。





シックハウス症候群というのは、原因が目に見えません。しかも症状は前出した通り、それらの知識が少ないと他の病気の症状と見間違いやすいものです。(倦怠感・めまい・頭痛・湿疹・のどの痛み・呼吸器疾患など)





「いやー、私風邪ひいちゃってさー」という人は良くいますが、「いやー私シックハウス症候群になっちゃってさー」という人が身近にいた方は少ないと思います。





法整備され、圧倒的な設備費をかけて全ての建物に換気扇をつけ建物を規制する程の「国の一大事」である⇒相当数の患者がいる(いた)にも関わらず、です。





 これは症状が分かりづらいことによったり、目に見えない原因だったりする事も手伝って、認識が不足しているだけであって、もっと多くの方が症状に悩んでいる(いた)と私は考えています。





建物を設計・建築するにおいて、それらの知識を知ったうえで、ぜひ皆さんにはシックハウス症候群の可能性の少ない建物に住んで頂きたいな、というのが私の設計の中での一つの重要視しているところです。





具体的には、上記と一部重複しますが、





・さまざまな換気扇設備のイニシャル・ランニングと、メリットデメリットの検討。





・自然換気で風の通りやすい通風の計画を行う。





・合板や塗料など、仕様建材を4☆☆☆☆以上は当然ですが、なるべく無垢材などの使用によってより建物全体でのVOC量を少なくする。





・既製品家具を買われる際は、表示の確認などのアドバイスを行う。





・住まわれるにあたっての「シックハウス症候群」への注意喚起や知識をお伝えする。





など、その他総合なバランスです。





なぜこのような考えで設計をするようになったかというと、私自身も幼いころからアレルギー体質で、アトピー性皮膚炎などを時折発症するためです。





実際VOCなどの化学物質に過敏な体質らしいのが分かったのは最近なのでして、長らく建築設計をしていながら恥ずかしい体験なのですが…。





近年皮膚炎でひどい症状の時期があり、その時期を思い返すと安価な既製品家具を同時にいくつか購入し一室に配置し仕事していたのですが、そのタイミングから急に症状が悪化しており、症状からは色々な病名や原因が考えられてしまい、時間をかけて原因を一つずつ潰していくと結局シックハウス症候群に行きつくといった事があり(原因を取り除き、換気扇の設置で快癒した)、原因究明から解決まで難儀した経験があります。





ある程度シックハウス症候群というものに知識のあるはずの設計職である私でさえ気づくのが難しい(まさか自分がそうとは思わない)、そのような経験から、今でも建築の際に認識不足で原因に気付かずに不健康になっているという方々が多いのでは、と思っています。





これは体験により持った私見ですが、特に北海道は気密技術が高く室内の空気が逃げづらいという事もあり、自然環境豊かなはずの北海道では実は人口当たりのアレルギーやアトピーの発生率が高い事にはシックハウスとの関連性があるのではないかとも考えています。





せっかくの一生の買い物、性能や機能も大事ですが、今一度、建てる前にそんな側面からも住まいを考えてみることをお勧めします。


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