一級建築士事務所 富谷洋介建築設計 一級建築士事務所 富谷洋介建築設計

最新情報News

2023.8.6 Photologブログ

[宮の沢の家]room tour


十字型ワンルームが空間を繋ぐ借景の二世帯住宅
宮の沢の家(2023年竣工)room tour









【外観道路より】
.
変形地に合わせ決まった多角形状の外壁ライン、また3方道路の角地であることから、プライバシー確保のため窓のない閉じる面と、森の風景に開く面を決定しています。
2層の大窓は、南の森の向きへと開き、光と借景を得ます。
.
外壁材はガルバリウムの立平葺と白塗装した木板張を組み合わせています。
建物の全高さを半分としたラインにポーチ天井ライン、また外壁目地ラインを揃え水平に揃え、整えています。
白い素材で囲まれた窓周りは、光を拡散し取り込む効果もあります。
.









【外観真南より見る】
.
道路に対し45度斜めに向けられたメインの大窓をまっすぐの森から建物を見たカットです。
.
建物の正面は道路ではなく、「森」を正面と捉え顔を向けて作っています。
窓がしっかりと画角が合うよう壁の配置、また窓の大きさの検討をしました。
.









【外観真南ファサードのアップ】
.
森に向けて視界を絞るためにカメラのレンズフードのように飛び出させています。
また、内向きに光を拡散するために窓周りを白い板金としています。
.
玄関ドアは木製断熱ドアメーカー「m.a.p」によりオーダーし、外壁材と同じ材、また目地を揃え張っています。ドアの3方枠に外壁材を被せて隠すことで外壁と一体化したスッキリとしたデザインとなります。
.









【ポーチ】
.
玄関床はコンクリート仕上げとし、駐車スペースの床仕上げがそのまま繋がります。
.
玄関ドアのバー取手は、建物と合わせたデザイン・塗装で木材にて造作しています。
ハンドル上部の明り取りガラスは、ガラスを積層小端から光を透す仕掛けを試みています。
.
上部の木ルーバーの裏は小さなバルコニー、屋上へのメンテのタラップを隠しています。正方形の穴はバルコニーにたまった雪の捨て穴のデザインです。
.









【エントランス・階段室】
.
土間が広く明るく開放的なエントランスは、階段室でもあり、吹抜けともなっています。
空を望み、光を得る大きなハイサイド窓は二階から見ると緑を望む借景の窓でもあります。
.
左側の2連の白い箱は、郵便箱。屋内外を貫入する郵便箱は気密上の弱点になりますので、断熱した箱の内側に扉でパッキンし気密をしています。性能を損なわず、利便良く毎回デザインします。
.
階段段板はカラマツクロスボード、側面を細く、繊細に見えるようにラインを繋げています。
手すりはスチールで細く、開放的な吹き抜け空間の印象を損なわないようにしています。
.
階段収納の下の扉の取手もこの建物に合わせデザインしています。
.









【1Fリビング】
.
キッチン、ダイニングからリビングがワンルームで繋がる開放的で光溢れる空間としました。
.
テレビ台から繋がるベンチは一枚の板がそのまま階段となり、ロフトへと繋がります。
1階を2層に分ける事で面積を有効に使うことが出来ます。ロフトは天井高さが不要な客間や子供遊び場、収納などのフリースペースに。
.
床材はカバ材無垢フローリング、壁はパイン材を採用、白木の状態を保ちたかったため薄く白染めしてバランスを調整しています。
白壁・天井はゼオライト左官をフラット塗り。
.









【1Fリビングをキッチンから】
.
キッチンは家の中で特に長時間いる場所、家の中でリビングと同じくらい大切な場所と考えています。このキッチンは、食事や団らんの際も家族とコミュニケーションし易く、テレビが見え、音楽が聞こえ、借景も見られ、洗濯スペースにも近くに配置しています。
.
ダイニングはキッチンと一体で家具造作、床のカバ材に合わせたカバの3層合板を採用、無垢の質感高いテーブルとしました。
.









【森の借景の窓】
.
借景の森は道路越しであることから手前を歩行者が通るため、ソファに座った時に森だけを見せるために、道路付近を隠すため、FIX窓の下部の回転窓を曇りガラスとして目線をコントロールしています。
.
テレビから繋がる板は、収納や座卓ともなる多用途なカウンターであり、人が集まった時には車座に集まり座れるベンチとなります。
.









【スタディスペース】
.
キッチン横の階段を降りると小さなスタディスペース。
基礎断熱の内側なので、基礎の内側もスキップフロアで掘り下げ・繋ぎ、室内として利用しています。
.
パソコン、勉強、家事コーナーとしても利便が良い場所です。
.









【1F D+K】
.
リビングから見えるキッチンであることから、すっきりとしたフラット天板のアイランドキッチンを家具造作としました。
テーブルからキッチンの天板小口を同じカバの3層合板を現し、水平ラインを通しています。
リビング側から見える一部背面は、奥行きの浅い扉収納とマガジンラックとし無駄なく収納としていあます。
.
キッチン収納は、天井まで伸ばさず機能的な高さで止める、一連の天井を奥まで通して空間を広く見せています。
.









【1F スキップフロアを降りる】
.
リビングから数段を降りると基礎断熱の内側空間を利用したダウンフロアエリア。
ブラックのタイルカーペット敷として層の印象を変えています。
.
床の高さ、天井高さが変わることで、ワンルーム空間の中でもそれぞれ違う性格の場所を作ることが出来ます。
.









【1F ダウンフロアエリア】
.
将来閉じれば個室にもできるフリースペース。
コンクリート基礎断熱の内側のため、壁が一部コンクリート基礎が見えているのがインテリアのアクセントになっています。
直上のロフトの高さを確保するため、通常より天井の低いエリアとしています。
.
お籠り感のあるユニークな場所になりました。
.









【階段室の通風窓】
.
階段室内の、廊下の突き当りにある窓は、通風用の網戸付きの板戸です。
1階から見ると高低差を利用した上昇気流による通風が期待できる位置であり、2階から見ると水平に通る通風が期待できる重要な位置です。
.
景色を見る窓は大きくその横にあるため、敢えてガラス付きの窓とせず通風のみの窓とし機能を分けています。
.









【2階リビングからの森】
.
道路から45度降った正方形のFIX窓が森からの借景を得ます。
.
屋根断熱とすることで現したツーバイ梁は空間にリズムと生み、またそのまま木質のインテリアとなります。
.
床材は少し珍しい、アサダ材の無垢フローリングを採用しました。赤白の色違いがハッキリと出て木の強さが伝わる樹種です。
.









【通風、メンテナンス窓の網戸】
.
メンテ用のバルコニーに出るテラス窓を隠す、造作の木製ルーバー戸。
閉じると壁面とフラットになり存在を消し、また裏面にメッシュが張られており通風の際は網戸ともなります。
.
リビングにおいて、サッシュの存在感を消す手法の一つです。
.









【2階 D+K】
.
2階のキッチン棚も1階と同様上部を開放することで、水回り、洗濯スペースと空間を繋いでいます。
そうする事で空間の広さ感、また通風の良さ、各所からの光の広がりなど、目隠しはしながらも空気的にはワンルームを作ることが出来ます。
.
左の壁から光が溢れる大きな開口は吹抜けに向けたガラス窓、その向こうには南西の緑の借景へ向かう窓があります。
.
食器棚は壁面と合わせ、シナ材を白染色し壁面の羽目板と調色しています。
.









【洗面】
.
人口大理石のフラットなカウンターに高さのある置き型の洗面を配置することで、ボウル側は洗面し易い高さ、カウンター側は椅子に座ってのお化粧等がしやすい高さになります。
.
西側の窓も道路上空への抜けが得られる、採光、通風の窓となります。
.









【1Fリビング夕景】
.
電球色の暖色の照明、間接照明が照らす室内夕景です。
借景の窓の緑が室内のナチュラルな暖色の木のインテリアと調和してくれます。
.









【1Fリビング夕景】
.
ワンルーム空間の中でも床段差、天井段差に変化を付け、壁などで見え隠れを作ることで、繋がった空間でありながらも多様な居場所が出来ます。
.
住空間では「共用部」と「プライベート」だけでなく、その中間、思い思いに、家族それぞれが快適にな距離を見つけ過ごせる場所があるとより豊かに家族が時間を過ごせると考えています。
.









【1Fキッチン夕景】
.
ダイニングとの間に床段差を設けることで、キッチン天板とダイニング天板の高さをフラットにすることが出来、配膳、コミュニケーションがし易い造りになっています。
.
キッチン本体はリビングと一体空間に在ることから、壁の白と合わせシンプルにステンレスと塗装にて家具造作しました。
.









【1Fスタディコーナー夕景】
.
床が下がったダウンフロアのスタディコーナー。
カウンター天板はカラマツ3層合板の小口を現し、白染色して壁面と色合わせしています。
下部は可動棚となり、書籍や小物などを収納します。
.
床が下がったことで天井が高い、開放感あるスタディーコーナーとなっています。
.
キッチン作業の合間に書き物をしたり、子供が勉強したりと、キッチン周りの作業カウンターは利便性が高いスペースです。
.









【階段から各層を見る】
.
二世帯住宅であることから、各世帯には扉を設置していますが、2階から吹抜け、またその奥の緑の借景を得たいことから、2階は大きなガラスを吹抜面に設けました。
.
ガラスは音のバリヤーとなりながら、光や景色を邪魔せず、空間としての広さ感を伝えることが出来ます。
.









【2階吹抜け越しの緑】
.
2階からは、吹抜け越しに、また隣家の屋根越しに借景の緑を得る窓を配しました。
敷地周辺の魅力を、建物に活かし、最大限享受するというのはいつも設計に当たり優先して考える事です。
.
梁の間に設けたスポットライトで壁面を照らし視覚的な明るさ感を得る照明計画です。
.









【2階 D+L】
.
2階は、親世帯が使用することを想定し、より暖かい木質なインテリアとすることを考えました。
.
アサダ(無垢フローリング)、タモ(テーブル)、パイン(羽目板)、松材(表し梁)、シナ材・チェリー材(家具)など、様々な樹種の材をバランスを考えながら採用しています。
.









【2階 D+K】
.
タモ無垢材のテーブルを中心としたD+K空間です。
現し梁の元、木調を中心とした暖かく柔らかいインテリアとしました。
.









【南面 外観夕景】
.
室内の暖かいインテリアが透ける夕景のカット。
.
北国の機構に耐えるシェルターとして強いシェルと、人が快適に暮らすことが出来る柔らかく優しい内部空間が組み合わさって良い「家」となることを感じます。
.









【道路側 外観夕景】
.
変形の敷地に対し、建蔽率いっぱいまで建てる為、外壁ラインを「敷地境界」と「プラン」から適切なラインを検討した結果、円形のような不思議なスカイラインとなりました。
.
3方角地の敷地である事から、住宅街の街並みに対し調和する柔らかさ、また緑に調和する外壁色などを検討し外観デザインを検討、決定しました。
.


記事一覧へ