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2019.3.3 ブログ

「キッチンで作業をする人が気持ちよく過ごせる空間」を設計する


設計プランを組み立てる上で、骨組みとして大切にしているポイントがいくつかあるのですが、今日はその重要な一つに捉えています「キッチンが作業する人にとって快適な空間である」ということに関して、キッチンにいる人の視線を元にして書かせていただこうと思います。





家の各スペースには様々な役割がありますが、キッチンというのは格別に「家事の中でも作業時間が最も長い場所」です。外で働く家族にとってリビングが安らぎの場所だったりしますが、キッチンでの家事を担う家族にとってはキッチンは職場であり長い時間を作業して過ごす滞在場所でもあります。





家の中でも「もっとも作業時間が多い場所」を快適にストレス少ない場所として優先順位高く作るということがとても大切であると考えており、プランする上で必ず提案に組み入れているところです。





例えばこれは「Four Decks」の場合、 キッチンからの目線(メモを入れてみました。)









よりよいキッチンからの空間を検討し設計した要素を箇条書きにすると、
・作業しながらもダイニングとのコミュニケーションがとりやすい
・キッチンにいながらもリビングで過ごす家族とコミュニケーションをとれる
・子供の遊び場所に目が届く
・突き当りの目線を窓で抜き借景の緑へ
・家族が家の中を移動する階段が見える
・梁表しの大空間を一番感じられる視点
ちなみに右を向くと、子供の勉強スペースと共にそれ越しには街を見下ろし空へ抜ける窓(子供の勉強スペース)があります。





キッチンから右を向くと目線が空へ抜ける




こちらは「Unison」の場合、キッチンからの目線。









ダイニングとのコミュニケーション、リビングとのコミュニケーション、階段を上り下りする家族と顔を合わせられる、スタディコーナーに目が届く、大きな借景窓から緑を望む…等と共に、(作業中に必要とするかでクライアント様により変わりますが)TVが見やすいというのもキッチン・リビングのプランニングと同時に配置を考えるところです。
一日の中で数時間を過ごす場所、食事の後片付けの間にもリビングで過ごす家族と同じテレビを見る、忙しい朝にもニュースを取り入れるという事も時間短縮・ストレスを少なくする場合もあります。





その他いくつか事例から特筆します。





宮の沢の家」キッチンからの視点。借景の公園の緑へ向いた斜めの大窓へ目線が抜ける。




集光の家」キッチンからの視点。 中庭の光・緑・開放感を得られる。屋外デッキでのバーベキューがし易い作業動線も確保。




T字路の家」キッチンからの視点。2Fにあるキッチンからまっすぐに道路上空へ抜けた空隙・また左を向くと隣家を超えた東の空への抜けを得られる。




中二階がつなぐ家」 キッチンからの視点。 黒いボックス上の中二階スタディスペースで過ごす子供と対面してコミュニケーションが取れる。




キッチンがストレス少なく・気持ちよく過ごせ、作業を行える場所になること、家の計画の中でもそれを優先順位高く検討する。これは長い目で見て家族にとりとても有益なポイントだと思っています。


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