手洗いが最短距離の住まい
コロナ以降感染症対策が叫ばれて、重要さが明示されこの数年、ライフスタイルの中で手洗い・うがいが日常となり習慣化されたところがあります。
日々、外出から家に戻るとまずは手洗いへ、という方が多いのでないでしょうか。
そのための動線として理想は、何も触れずに手洗いに向かえるのが理想ですが、住宅の場合、洗面所はプライベートエリアとして浴室と近くにある場合が多く、玄関からすぐにはないことが多く、そこに着くまでにはいくつかの扉のハンドルを触れなくてはならない事が多いです。
玄関から利便が良い場所に手洗いがあると、外から帰ってきた手は室内のどこも触らずに手洗いができます。
これは感染症予防に限らず、子供がいる家庭などでは外遊びで汚れた手や服など、真っ先に洗えるためとても便利な動線です。
利便よく作られた過去の事例をいくつかブログにてピックアップします。(20230818記事更新)
●「PARALLEL」 (写真 酒井広司)
この住宅では、玄関の横のアーチ開口の向こうにに広いシューズクローゼットを配し、その中に帰宅時用の小さな手洗いを備えました。
帰宅すると家の中のどこにも触れずに、すぐ手洗いをすることが出来ます。
エントランスからつながるこのシューズクローゼットは、主要室から回遊動線でつながるため家族用の玄関として使え、それによりメインの玄関には靴のないすっきりとした状態をいつも作れます。
さらに奥に見えるのは広々としたパントリー、奥はそのままキッチンに連続します。パントリー内に冷蔵庫も配置しており、食材の買い物から帰宅したら玄関からそのままの動線で食材を収納できます。
●「集光の家」 (写真 水上ゴロウ)
こちらの住宅では、玄関と廊下を兼ねた広々とした玄関ホールに手洗いコーナーがあります。
街中にありながら、光溢れる中庭が特徴のこのお住まいでは、玄関を入ると視線は光と緑があふれる中庭へと抜ける印象的なエントランス空間になっています。玄関は来客を迎える空間でもあり、手洗い機器もその空間から見える位置関係ですので、見た目も重視しシンプルに設えた造作家具の上に置き型のデザイン性がある陶器を選定しています。
●「Four Decks」 (写真 酒井広司)
こちらは玄関から半階下がったオープンなホールに手洗いを設けています。
手洗いのあるフロアは1Fの土間と接しており、土間はテラスドアを介し庭と連続していますことから、お庭作業の後の手洗いとしての用途としても設置しています。
●「北窓の家」(写真 酒井広司)
こちらはメインの洗面でもあるのですが、玄関から近いエリアにあり、洗面を廊下に対しオープンに設置していますので帰宅後すぐに手を洗うことができます。
洗面+洗濯+脱衣はワンルームというのが旧来多いですが、脱衣や洗濯はプライベートなので閉じられた中である必要はありますが、洗面台に向かう作業は歯を磨いたり・歯を洗ったりといった行為なので居室の一角でも出来る作業だったりします。
「洗面」と「脱衣・洗濯」を分ける事で、浴室使用中も洗面を使用することができ、家族間のプライバシーも保ちつつ効率的に水回りの使用ができます。
この写真では右の部分が「脱衣+洗濯」への扉。ドアを開けておけば一つながりでワンルームの様にも使えます。