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2023.9.8 ブログお知らせ

キッチンをどう造る?メーカー?造作?


住まいを考える上で重要なポイントに、「キッチン」をどう造るかがあります。
実際の生活が始まると、在宅の際には圧倒的に多くの長い時間家事などで過ごす場所であり、キッチンをどう住まい方に合った形に出来るかは大きなポイントと言えます。

それぞれの家族の生活において、キッチンに何を重視されるか、機能性、メンテナンス性、デザイン性、素材感、コスト、性能、シンプルさ、リビングとの距離感、来客時の役割など、求められる価値、ウエイトが違います。
プランに関わるキッチンの形(アイランド、Ⅱ型、L型、Ⅰ型等…)のお話もありますが、今日は何を目的とするために「どのように造るか」を設計の際どう考えていくかをブログとしたいと思います。

求める価値により、どのようなキッチンを選定するか、設計の都度クライアント様と相談し方向性を考えていきますが、キッチンの作り方には大きく3つあると考えています。

どのような造りが、ご家族にとり最良の価値を生むか、キッチン一つをとっても考えることは無限ですね。










●「キッチンメーカー」キッチン
一般的にシェアが多いのがこの形、システムキッチンと呼ばれる、キッチンメーカーさんのシリーズ品のオプション品、サイズ調整などで住まいにフィットさせます。
[メリット]
大量の数が作られていますので造りに不備や使いづらい点などがないかなどが考えつくされ品質が安定している点、メーカー独自のオプションの採用などが可能などがあります。
またメンテナンス性が良く考えられており、大量生産されるグレードであれはコストも抑えられる場合もあります。
[デメリット]
サイズや形状、使用する材料などにも決められた幅があり、制限があるという点です。
また、既製品らしいディティールがインテリアの中で浮いてしまう場合もあります。
設計上はそれらの既製品としてのデメリットを軽減するよう、周辺デザインを考え、隠し、整え、調和させる工夫をし、総体としてフィットするように考えます。


















六角形の家のキッチン〕
シンプルなデザインで使い勝手が良いシステムキッチンをカラマツ3層合板で囲みを作り、リビング側からは家具のように木の素材感だけを見せる構成としました。(キッチン:クリナップ札幌支店)


















Slashのキッチン〕
システムキッチンを大きなカウンターで囲み、ダイニングと連続感を出し木の質感で既製品らしさを隠し、インテリアとして統一感を持たせています。(キッチン:クリナップ札幌支店)










●「造作家具」キッチン
造作家具業者さんに依頼し、建物に合わせて一品物、造作家具としてキッチンを制作します。
[メリット]
形、素材、デザイン、すべて自由に考えることが出来る点です。
木などの自然素材を採用したり、建物全体のデザインを踏襲した個性あるデザインにしたり、体格に合わせミリ単位で寸法を設定したり、自由に考えることが出来ます。
海外製ビルトイン機器など、設備機器も縛りなく自由に選定することができます。
[デメリット]
職人の手による一点物ですので、コストコントロールは重要になります。例えばメーカーキッチンと全く同じものを造作家具で作ると、コストアップになります。
しっかり考え、造作しどころを考える事が大切です。もちろんキッチンにとって何が必要かのポイントにより、必ずしもメーカーキッチンより高上りになるというわけではありません。


















四分円階段が繋ぐ家のキッチン〕
インテリアの素材感やプランを考えるのと同時進行で素材やデザイン、使い勝手からのキッチンプランを、設計と造作家具業者様とクライアント様、3者で一から検討をして制作して頂きました。
システムキッチンでは難しい、使い勝手に沿ったオリジナルなキッチンとなりました。
(キッチン:匠龍木工社)


















集光の家のキッチン〕
背面のキッチン収納と共に、リビングの家具でありアクセントウォールとして、建築と一体してインテリアに調和するキッチンを銘木突板の素材、形状や使い勝手含めオリジナルのキッチンを検討しました。
ダイニングテーブルも素材感を合わせ一体で造作しています。
背面食器棚の一つはパントリールームに繋がる扉。隠し扉のようにデザインを合わせています。
(キッチン:匠龍木工社)










●「大工工事」キッチン
現場の大工さんにキッチンを造ってもらう形、例は少ないですがユニークな造り方です。
[メリット]
造る手が変わらないという意味でコストをコントロールしつつ、建物の素材と一体的に、建築と一体化したキッチンをデザインできます。
[デメリット]
オープン棚などであれば引き出しや扉など、家具的な造りが必要になると大工工事のみでのキッチンは難しくなります。


















里山の家のキッチン〕
建築の壁と同じ木毛セメント板で壁を立ち上げ、天板を左官(モールテックス)仕上げとしました。
大工工事のため、収納は割り切ってオープン収納、ワゴン収納や日々使うものはオープンに使用します。
レンジフード、コンロ、水栓、食洗器など、別々のメーカーですが、クライアント様こだわりの設備を取り寄せ自由に組み合わせています。
アクセント壁のタイルをインテリア的に自由に展開させたりと、建築と一体となったキッチンとなりました。(工事施工:コーユー創建)











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