住まいを考える|12|ロフトは「収納」だけではない
ロフトと小屋裏収納は同じもの?
設計の打ち合わせで、「ロフトをつくりたい」というご相談をいただくことがあります。
実は「ロフト」という言葉は、一般的にはさまざまな意味で使われています。
建築基準法上の小屋裏物置を指すこともあれば、メゾネット状の空間やロフトベッドを指すこともあります。
住宅設計で一般的にロフトと呼ばれているものは、小屋裏物置の一種であり、本来は収納を目的とした空間です。
そのため、建築基準法で定められた条件を満たす必要があります。
代表的な条件としては、
・天井高さが1.4m以下
・床面積が直下階の2分の1未満
などがあります。
このような基準を満たすことで、階数や延床面積に算入されず、固定資産税の対象にもならないなどのメリットがあります。
ロフトは「収納」を増やすだけの場所ではありません
私たちは、ロフトや小屋裏収納を単なる収納スペースとは考えていません。
もちろん、季節用品や思い出の品を収納する場所として、とても合理的な空間です。
しかし、それだけではもったいないと考えています。
吹き抜けとつながることで空間に広がりを感じさせたり、スキップフロアと組み合わせて視線の抜けを生み出したり。
収納という役割を持ちながら、住まい全体の空間体験を豊かにすることもできるのです。
限られた空間だからこそ、豊かな場所になる
ロフトは天井が低く、決して広い空間ではありません。
それでも、不思議と心地よく感じることがあります。
子どもにとっては秘密基地のような場所になり、大人にとっては読書や趣味を楽しむ落ち着いた居場所になることもあります。
少しだけ天井が低い。
少しだけ囲まれている。
その「ちょうどよい余白」が、住まいの中に豊かな居場所を生み出してくれます。
私たちは、面積だけでは測れない心地よさも、住まいの大切な価値だと考えています。
法規を理解することは、設計の可能性を広げること
建築基準法は、自由な設計を制限するためだけにあるものではありません。
そのルールを正しく理解することで、限られた条件の中でも、より豊かで合理的な住まいをつくることができます。
法規、構造、敷地条件。
それぞれを丁寧に読み解きながら、その土地、そのご家族にとって最も心地よい空間を考えること。
それも建築家の大切な役割の一つだと考えています。
この考え方から生まれた住まい
●切妻屋根の屋根裏空間を利用した三角空間~「里山の家」(写真 酒井広司)
切妻屋根なりに勾配天井とした頂点部分、天井より上の部分を小屋裏物置としています。
ルーバー状の木が梯子になっていて、上ると切妻屋根の形そのままの不思議な空間が広がります。
なんだか瞑想できそうな空間です…。



●子供部屋の棚を階段にして登ると秘密のロフト~「森窓の家」
個室の段々に作られた固定棚、これをステップに上ると、実は上がロフト状の造りの小屋裏物置に。
忍者屋敷の秘密の屋根裏部屋のような造り、子供も大好きですよね。


●階段室の上部デッドスペースを利用した小屋裏物置~「White Prism」
階段上部は、天井が高いのに通常はデッドスペースになりがちです。
その空間を利用して、2階からさらに半階上がる小屋裏物置スペースです。手すり壁の厚さも文庫本用の本棚として無駄なく収納となっています。


●平屋建て部分と2階建て部分の高さの差にできた屋根裏を横から収納利用~「稜線の家」
プラン上、2階建て部分と平屋部分があり、勾配屋根で結んでいるためその差部分に小屋裏空間ができたため、小屋裏物置として活用しています。
横から入る形の小屋裏物置は使い易い収納空間です。




●敷地高低差を吸収する為の基礎高部分を利用した床下収納~「段差を繋ぐ家」
高低差のある敷地、基礎を一部高基礎にすることで1階フロアをフラットにしていますが、高基礎部分を収納として利用。
ちょっと分かりづらいですが、写真、階段を下った左側の壁に開口があります。
天井高さの1.4m制限はありますが、玄関横のボリュームあるコンクリート壁の収納は、ハードに使える使いでの良いスペースです。


English
A loft can be much more than a storage space.
When thoughtfully designed, a loft adds depth, openness, and unique places to everyday living. We believe even small spaces can enrich the experience of a home.
Last Updated:2026.07.07