稜線の家

札幌市内、商業エリアから近い住宅地に計画された二世帯住宅の計画です。

敷地にゆとりのある完全分離型の二世帯の計画であることから、縦割りに2世帯を配置。縦割りプランには生活音も伝わりづらく、どちらの主階もグラウンドレベルに面することができるという利点があります。

場所は丘陵地帯から平地へと繋がるすそ野にあたり、なだらかな１.5ｍ程の勾配が敷地内にあり、地形を生かした合理的な造りとして建物内で地形に合わせて床高差を変えスキップフロアとしました。それにより、世帯間の床高さが自然に変わることとなり、本来同一フロアである1階も高さによるゾーン感が意識できます。

子世帯を2階建、親世帯を平屋とし、二世帯を敷地から望まれる稜線のような勾配の大屋根で結び一つのボリュームとしています。

人通りの多い道に面することから道路からのプライバシーを確保するためもあり、塀とポーチ独立壁による雁行した通路とし、奥行き感あるアプローチとしました。

二世帯共用のポーチの大屋根下は、夏はバーベキューの東屋や自転車置場として、冬は除雪の拠点として、住まいと外部を繋ぐ利便良いスペースとなります。

子世帯は子供が遊べる南庭へと連続するワンルームＬＤＫを中心とした一階と山並みの眺めを得られる二階個室群+こう配屋根の余剰ボリュームを活用した小屋裏納戸で構成されます。

親世帯は屋根型の傾斜を内部に現した高天井の開放感あるワンルームＬＤＫと個室、水回りを平屋にまとめた使い勝手の良いワンフロアとしています。趣味であるオーディオ・プロジェクターも配線や設置計画を行いすっきりと納めています。

世帯間は生活音防音を検討し、壁防音とともに内部で繋がる防音ドアを閉じることでしっかりとプライバシーを得ることができる造りとしています。

二つの世帯がそれぞれ家族の時間をプライバシーを大切に過ごし、また時に助け合い共に楽しく過ごす。利便よく合理的でありながら、楽しく豊かに多世代が過ごせる住まいであることを目指しました。