住まいを考える|27|築10年、家は何をメンテナンスすればいい?
Last Updated:2026.07.22
家は、完成した瞬間がゴールではなくスタートであり、ご家族とともに歳月を重ねながら、少しずつ表情を変え、暮らしを支えていいきます。
人が定期的に健康診断を受けるように、住まいにも点検やメンテナンスのタイミングがあります。
「まだ壊れていないから大丈夫。」ではなく、「壊れる前に気付く。」
この考え方が、住まいを長持ちさせ、結果として大きな修繕費を抑えることにもつながります。
今回は、築10年前後を迎えた住宅で、建築家として確認をおすすめしたいポイントをご紹介します。
築10年は「修理」ではなく「健康診断」のタイミング
「10年経ったら全部直さなければならない。」
そんなことはありません。
現在の住宅は、材料や施工技術の向上により、適切に施工されていれば10年程度で大規模な修繕が必要になることはありません。
一方で、物質である限り「ノーメンテ」はあり得ず、紫外線や雨風、北海道では雪や凍結・融雪の影響によって、建物は少しずつ経年変化しています。
築10年前後は、修理を前提とした時期ではなく、「これからも安心して暮らすための健康診断」を行うタイミングと考えることをおすすめしています。
小さな変化を早めに見つけることで、大きな修繕を防げることも少なくありません。
外壁コーキング(シーリング)の点検
外壁材そのものより先に劣化しやすいのが、外壁や窓まわりに使われているコーキング(シーリング)です。
ゴム状の素材のため、紫外線や雨風の影響を受け、少しずつ劣化していきます。
・ひび割れ
・硬化
・剥離
このような症状が見られるようになると、防水性能が低下し、雨水が外壁内部へ入り込む原因になります。
特に北海道では、浸入した水が凍結と融解を繰り返すことで劣化が進みやすいため、築5~10年を目安に状態を確認し、必要に応じて打ち替えを検討すると安心です。
ガルバリウム鋼板屋根のメンテナンス
ガルバリウム鋼板屋根は、軽量で耐久性が高く、多くの住宅で採用されている屋根材です。
ただし、「メンテナンスフリー」というわけではありません。
年に一度程度を目安に、次のような点を確認しておくことをおすすめします。
・屋根材の傷やへこみ
・棟板金の浮き
・ビスの緩み
・シーリングの劣化
また、大雪や強風の後は、一度屋根の状態を確認しておくと安心です。
早い段階で傷や錆を発見できれば、タッチアップなど比較的小さな補修で長く使い続けられる場合もあります。
丈夫な屋根だからこそ、定期的な点検を続けることが、美観と耐久性を長く保つことにつながります。

塩ビシート防水屋根の点検
陸屋根などで採用されることの多い塩ビシート防水は、耐久性・耐候性に優れた防水工法です。
しかし、長く安心して使うためには定期的な点検が欠かせません。
確認しておきたいポイントはこちらです。
・排水口(ドレン)の詰まり
・シートの浮き
・接合部の状態
・表層材の劣化の程度
排水口に落葉や土が溜まると、雨水が流れにくくなり、防水層へ余計な負担がかかります。
できれば冬を迎える前に一度確認し、築10年を機会に専門業者による点検を受けておくと安心です。

外壁のメンテナンス
ガルバリウム鋼板外壁
ガルバリウム鋼板外壁は耐久性に優れていますが、定期的な点検は必要です。
・傷
・もらい錆
・コーキング
・汚れ
時々水洗いをするだけでも、美観を維持しやすくなります。
屋根と同様に、劣化を発見した場合は早めのメンテをお勧めします。
木板外壁
木板外壁は、年月とともに色合いが変化していくことも魅力の一つです。
一方で、
・反り
・割れ
・塗装の劣化
などが見られる場合は、塗り直しなどのメンテナンスを検討しましょう。
立地条件にもよりますが、5~10年程度を目安に状態を確認すると安心です。
木は適切に手入れをすれば、とても長く付き合える素材です。

玄関ドアの鍵が重くなったら
玄関ドアの鍵が「差し込みにくい」「回りが重い」と感じることはありませんか。
そのような症状は、鍵穴にホコリや細かな汚れが溜まっていることが原因の場合があります。
メーカーにも寄る場合がありますが、おすすめは、鍵穴専用潤滑剤「チービー」です。
一般的な潤滑油とは異なり、油分でホコリを呼び込みにくく、鍵の動きを滑らかにしてくれます。
使用方法はとても簡単です。
・鍵穴のホコリを軽く取り除く
・チービーを少量吹き付ける
・鍵を数回抜き差ししてなじませる
一般的な潤滑油やシリコンスプレーは、かえって症状を悪化させる場合がありますので使用しないようにしましょう。
改善しない場合は、施工を担当された工事会社様または鍵の専門業者へご相談ください。
24時間換気設備のお手入れ
24時間換気は、住まいの空気環境を保つための大切な設備です。
フィルターにホコリが溜まると、本来の性能を十分に発揮できません。
年に数回フィルターを清掃するだけでも、住まいの空気環境は大きく変わります。
取扱説明書に沿って、定期的なお手入れをおすすめします。
ボイラー・住宅設備機器
ボイラーや換気設備などの住宅設備も、永久に使えるものではありません。
築10年前後になると、「まだ使えるけれど、そろそろ交換時期も意識しておこう」というタイミングになります。
特に北海道では、冬場に故障すると生活への影響が大きくなります。
完全に壊れてから慌てるのではなく、余裕を持って更新を考えておくと安心です。
北海道だからこそ気を付けたいこと
北海道の住宅は、雪・凍結・融雪・強風、また近年は夏の暑さなど、全国でも特に厳しい自然環境にさらされています。
そのため、材料や施工方法も工夫されよりローメンテ化されてていますが、それでも経年変化は避けられません。
小さな変化を早めに見つけることが、住まいを長く守る一番の近道です。
築10年は、その第一歩となる大切な節目と考えています。
メンテナンスや点検をご検討の際は、まず施工を担当された工事会社様へご相談いただくことをおすすめします。
建物の仕様や施工内容を把握されているため、適切な点検やメンテナンスのご提案につながります。
私たち設計事務所も、必要に応じて工事会社様と連携しながら、住まいを長く快適に使っていただけるようお手伝いしたいと考えています。
住まいは建てて終わりではなく、建てた日がスタート、「20年後、30年後ももっとずっと先も、美しく、心地よく暮らせること」を大切に考えて設計させて頂いています。
適切なメンテナンスを積み重ねながら、ご家族とともに住まいも美しく歳を重ねていければ嬉しく思います。
English Summary
A home is not complete when construction ends. Around the 10-year mark is a good time to inspect sealants, roofing, waterproofing, exterior walls, ventilation systems, locks, and mechanical equipment. Regular maintenance helps protect your home, extend its lifespan, and reduce future repair costs.