住まいを考える|46|北海道の家を冬に留守にするとどうなる?
北海道で家を建てるとき、冬の寒さや雪への備えは欠かせません。
では、その家を冬の間、留守にするとどうなるのでしょうか。
旅行や帰省で数日家を空けることもあれば、仕事などで数週間留守にすることもあります。近年では、北海道と道外を行き来する二地域居住や、別荘として住宅を使うという暮らし方もあります。
普段、人が暮らしている家であれば、暖房が動き、水を使い、雪が降れば除雪をします。
ところが、人がいなくなると事情が変わります。
特に北海道では、水道の凍結、暖房や給湯設備、停電、換気、そして積雪など、冬だからこそ考えておきたいことがあります。
冬に家を空ける可能性があるなら、「留守にするとき、この家をどう守るのか」まで考えておくことが大切です。

一番気をつけたいのは、水道の凍結です
北海道の冬の留守宅で、まず気をつけなければならないのが水道の凍結です。
給水管や給湯管、水栓、給湯設備などには水があります。
暖房を止めて室温が下がれば、配管や設備の中に残った水が凍結する可能性があります。水は凍ると膨張するため、配管や水栓、設備機器などを破損させることがあります。
さらに厄介なのは、その後です。
留守中に配管などが破損し、気温が上がって水が溶ければ、漏水によって壁や床など周囲の建材にまで被害が広がる可能性があります。
北海道では、「人がいない間、水をどうするのか」を考えておく必要があります。
短期間の不在では、暖房を完全に止めない方法もあります
近年の高断熱・高気密住宅では、短期間家を空けるからといって、必ずしも暖房を完全に停止するとは限りません。
住宅の性能や暖房方式、設備計画などによっては、設定温度を下げて暖房を維持し、住宅を極端に冷やさないという方法も考えられます。
弊社で設計する木造住宅では、基礎断熱を採用することが多く、床下も断熱された空間の内側として考えています。給排水管なども、できるだけこうした温度環境の中に計画することが、凍結のリスクを小さくすることにつながります。
高い断熱性能は、普段の暖房エネルギーを抑えるためだけのものではありません。
冬の厳しい外気温から、建物や設備を守りやすくすることにもつながります。
ただし、「何日までなら暖房をつけておけば大丈夫」という一律の基準があるわけではありません。
外気温、住宅性能、暖房・給湯方式、配管経路などによって条件は異なります。その住宅に合わせた方法を考える必要があります。
長期間留守にするなら、水抜きを考える
一方、冬の間に数週間、数か月と家を空けるのであれば、誰もいない住宅を暖め続けることが合理的とは限りません。
そこで必要になるのが、水抜きという考え方です。
給水管や給湯設備、水栓などに残る水を抜き、住宅が低温になっても凍結による破損を起こしにくい状態にします。
ただし、「水道の元栓を閉めれば終わり」ではありません。
配管方式によっては、給水管の中の水が完全に抜けきらない場合もあり、設計段階から長期留守の可能性により、配管形式の検討なども必要になります。
給湯器やエコキュート、トイレなど、住宅には内部に水を持つさまざまな設備があります。それぞれの機器に応じて、長期間使用しない場合や凍結のおそれがある場合の水抜きや休止方法があります。
設備構成によって方法は異なるため、長期間家を空けることが分かっているのであれば、施工会社や設備業者とも相談しながら、その家に合った冬季の休止方法を決めておくと安心です。
留守だから、ブレーカーを全部落とせばいいとは限りません
長く留守にするなら、電気を使わないようにブレーカーをすべて落としておこう、と考えるかもしれません。
ところが、給湯設備などには、電気を使って機器内部の凍結を防止する機能を持つものがあります。
電源を切ることで、その機能まで停止してしまう場合があります。
つまり、「留守=すべての電源を切る」ではありません。
完全に水抜きをして設備を停止するのか、凍結防止のために一部の設備へ通電しておくのか。
機器によって異なりますので、それぞれの取扱説明書やメーカーの指示に従う必要があります。
停電や機器の故障も考えておく
暖房をつけておけば安心、というわけでもありません。
人が暮らしていれば、「今日は妙に寒いな」「暖房が止まっているな」と気づくことができます。
しかし、留守宅ではそれができません。
暖房機器の故障や停電などによって、想定していた室温を維持できなくなる可能性があります。
特に二地域居住や別荘など、冬に長期間無人になる住宅では、設備をどう動かすかだけでなく、異常が起きたときにどう気づくのかまで考えておくことが大切です。
換気設備はどうするのか
換気についても、留守だから一律に止める、あるいは動かし続ける、と単純に決められるものではありません。
暖房を維持しながら短期間留守にするのか、水抜きをして長期間住宅を休止させるのかによって、室内の温湿度条件も変わります。
また、住宅によって換気方式も異なります。
冬季に長期間家を空けることが分かっている場合には、暖房や給湯だけでなく、換気設備を不在時にどう運用するのかも確認しておくとよいと思います。
IoTで、遠くから家の状態を確認する
近年は、離れた場所から住宅の状態を確認する方法も増えてきました。
たとえば室内に温度センサーを設置し、スマートフォンから室温を確認する。一定の温度を下回ったときに通知を受ける。対応する設備であれば、暖房などの運転状況を確認したり、遠隔操作したりすることもできます。
北海道と道外を行き来するような二地域居住では、こうした仕組みは有効な選択肢になると思います。
ただし、ここにも一つ大切なことがあります。
遠隔で「異常が起きた」と知ることと、異常を直せることは別です。
停電すれば通信機器そのものが停止する場合もありますし、設備が故障すれば、遠くからスマートフォンで見ているだけでは直すことができません。
そのため長期間家を空けるのであれば、IoTによる遠隔監視とともに、必要なときに現地を確認できる家族や知人、管理会社、施工会社など、「何かあったときに誰が対応するのか」まで考えておくと、より安心です。
家の外では、雪が積もり続けています
そして、北海道では家の中だけを考えていればよいわけではありません。
人がいなくても、雪は降ります。
長期間留守にしている間に玄関前へ雪が積もれば、久しぶりに家へ戻ったとき、まず玄関までたどり着くための除雪から始めなくてはならないこともあります。
給排気口や設備機器、室外機などの周辺も、積雪や吹き溜まりを考えて配置する必要があります。
窓の位置にも注意が必要です。
積雪の多い場所で地面に近い位置まで大きな窓を設ければ、留守中にその前へ大量の雪が積もる可能性があります。
冬季に長く家を空けることが分かっているのであれば、窓の下にある程度の腰壁を設けたり、庇や建物配置によって窓際への堆雪を避けたりするなど、設計の段階から雪との距離を考えることができます。
雪は、降ってから考えるのではなく、住宅の配置や窓、屋根、設備まで含めて最初から考えておく。
これは普段暮らしている住宅でも、留守にする住宅でも同じです。
雪と住まいの設計については、「住まいを考える|44|北海道の家と、雪のことを考える。」でも詳しく書いています。
二地域居住なら、「留守になること」から設計する
ここまで考えると、冬に家を留守にすることは、完成したあとに住まい手だけが対応する問題ではないことが分かります。
北海道と道外を行き来する二地域居住を最初から予定しているのであれば、
配管をどこに通すのか。水抜きしやすい設備計画になっているか。暖房をどのように維持するのか。停電したときに何が起こるのか。室温を遠隔で確認できるようにするのか。雪が積もったとき、玄関や窓、設備はどうなるのか。そして、異常が起きたとき誰が現地へ行くのか。
こうしたことを、住宅を設計するときから考えることができます。
北海道で暮らす時間だけではなく、北海道を離れている時間まで含めて住まいを考える。
二地域居住や別荘では、そうした視点も大切になってきます。

住んでいない時間まで、住まいを考える
北海道の家を冬に留守にすることはできます。
ただ、暖房を切って鍵を掛ければ終わり、というわけではありません。
暖房をどうするか。水をどうするか。設備をどう停止するか。停電したらどうするか。雪が積もったらどうするか。そして、遠く離れた場所から、どう家の状態を知るのか。
特に二地域居住や別荘など、冬季に長く家を空ける可能性があるなら、「誰もいない時間」も、ひとつの設計条件として考えておく。
住んでいるときだけではなく、留守にしているときまで考える。
それも、北海道で長く安心して暮らせる住まいをつくるために、大切なことだと考えています。
この考え方から生まれた住まい
北海道の積雪寒冷地に建つ「森窓の家」では、高い断熱性能を基本としながら、冬の積雪や設備計画まで含めて住まいを考えています。
また、積雪によって屋根面の太陽光発電が難しくなる北海道の冬を考え、外壁面に太陽光パネルを設置しています。
冬を単に「耐える季節」とするのではなく、寒さや雪のある環境そのものを設計条件として受け止めることも、北海道の住宅を考えるうえで大切な視点です。
住まいを考える
住まいづくりについて、土地、光、窓、断熱、雪、予算、暮らし方など、設計を通して考えていることをテーマごとにまとめています。
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English
What Happens When You Leave a House in Hokkaido Unoccupied During Winter?
Leaving a house unoccupied during a Hokkaido winter requires careful consideration of freezing temperatures and heavy snowfall.
Water pipes, plumbing fixtures and equipment can freeze if indoor temperatures fall too low. For a short absence, maintaining a low level of heating may be appropriate, while a longer absence may require draining water from the plumbing and equipment. The appropriate method depends on the house and its systems.
Power outages, heating equipment failure, ventilation and snow accumulation around entrances, windows and outdoor equipment should also be considered. Remote temperature monitoring and other IoT systems can be useful, particularly for second homes and dual-location living.
When a house is expected to remain unoccupied during winter, we believe that the time when nobody is there should also be treated as a design condition.
A home in Hokkaido should be designed not only for the time people spend living in it, but also for the time they are away.
Last Updated:2026.08.27