住まいを考える|38|人生を楽しむ場所も、設計する。
家づくりというと、まず思い浮かぶのは、生活に必要な空間かもしれません。
リビング。
キッチン。
寝室。
子ども部屋。
収納。
水周り。
どれも暮らしに欠かせない、大切な場所です。
もちろん、それらはしっかりと考えなければなりません。
でも、住まいは生活をこなすためだけの場所なのでしょうか。
人生には、好きなことに夢中になる時間があります。
映画を観る時間。
音楽を聴く時間。
車を眺める時間。
お酒を飲みながら友人と語り合う時間。
そんな時間も、暮らしを豊かにしてくれる大切な時間です。
私たちは、生活する場所だけではなく、人生を楽しむ場所も設計したいと考えています。
性能や使いやすさは、とても大切です
住まいづくりでは、断熱性能や耐震性能、家事動線や収納計画など、多くのことを考えます。
どれも毎日の暮らしを支える大切な要素です。
でも、それらは目的ではありません。
性能が良いこと。
使いやすいこと。
それは、家族が心地よく暮らし、その先の時間を楽しむための土台です。
私たちは、住まいの価値は数字だけでは測れないと考えています。
広い家だからできるわけではありません
「趣味の部屋」と聞くと、大きな家だからできる贅沢な空間と思われることがあります。
でも、必ずしもそうではありません。
設計の工夫によって、限られた床面積の中にも豊かな居場所をつくることはできます。
必要以上に廊下をつくらない。
空間を立体的につなぐ。
一つの場所に複数の役割を持たせる。
そうした積み重ねによって、住まいの中に「少しだけ特別な場所」を生み出すことができます。
それは建物を大きくすることではなく、空間を上手に使い切る設計です。
この考え方から生まれた住まい
Unisonでは、ご夫婦が長年楽しまれてきた趣味を住まいの中に取り込みました。
ダンス。
ホームシアター。
バー。
ダーツ。
一見すると特別な趣味室のように見えます。
でも、この住まいは趣味室を一部屋追加した住宅ではありません。
スキップフロアやロフトを活用しながら空間全体のバランスを整え、限られた床面積の中で、暮らしと趣味が自然に共存する住まいを目指しました。
完成後にお招きいただいた際には、その部屋には毎週のように友人が集まったり、充実した趣味を存分に楽しむ、ゆとりある、図面には描けない時間が、その場所には流れていました。


また、斜光のガレージハウスでは、車をしまうだけではないガレージを計画しました。
お気に入りの道具を並べる。
車を磨く。
整備を楽しむ。
仲間と語り合う。
ガレージもまた、人生を楽しむための居場所の一つです。
私たちは、用途だけではなく、そこで流れる時間まで想像しながら設計しています。

余白が、暮らしを豊かにします
毎日の暮らしには、効率も大切です。
無駄な動きを減らし、家事をしやすくすることも、住まいの大切な役割です。
でも、人生は効率だけでは測れません。
何もしない時間。
好きなことに没頭する時間。
家族や友人と笑い合う時間。
そんな「少しの余白」があることで、住まいは単なる生活の器ではなく、愛着のある場所になっていきます。
人生を設計することはできません
人生そのものを設計することはできません。
でも、その人生を楽しむための場所をつくることはできます。
休日の過ごし方。
仕事を終えた夜の時間。
子どもとの思い出。
友人と過ごすひととき。
そうした時間は、間取り表には書かれません。
けれど、人生を彩り、豊かにしてくれる価値をつくっているのは、案外そういう余白の時間なのかもしれません。
私たちは、部屋の数だけではなく、
その場所でどんな人生を送ることが出来るかまで考えながら設計したいと思っています。
住まいを考える
「住まいを考える」は、住まいづくりにまつわる考え方や設計の工夫を、一つひとつテーマごとにまとめたシリーズです。
▶ 「住まいを考える」一覧はこちら
English Summary
A home should do more than support daily life. It should also create space for hobbies, relaxation, friendships, and memorable moments. Through thoughtful planning, even a modest-sized home can include places that enrich everyday life and reflect what matters most to the people who live there.
Last Updated:2026.08.03