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2026.9.25 住まいを考えるブログ

住まいを考える|50|中古住宅を買う前に、建築家と確認したいこと。北海道のリノベーションを考える。


中古住宅や中古マンションを購入して、自分たちらしい住まいへリノベーションする。
新築とは違う住まいづくりの方法として、検討する方も増えています。

実際に建っているものを見ることができ、立地や周辺環境を確認したうえで購入できることは、中古住宅の大きな魅力です。新築ではなかなか出会えない場所に、良い物件が見つかることもあります。

一方で、気になる中古住宅を見つけたとき、

「この間取りは変えられるのだろうか」
「断熱はどのくらい必要なのだろう」
「あと何年くらい使える建物なのだろう」
「購入したあと、リノベーションにいくらかかるのだろう」

といったことは、販売資料や写真を見ているだけでは、なかなか分かりません。

だから私は、中古住宅を購入してからリノベーションを考えるのではなく、購入する前から一緒に考えるという方法があっていいと思っています。









図面が残っているかで、分かることは大きく変わります。





中古住宅の相談を受けたとき、まず確認したいものの一つが既存の図面です。

平面図だけでなく、どの程度の設計図書が残されているのか。

図面があれば、柱や壁、基礎などの構造を読み取れることがあります。断熱材の種類や厚さ、建物がどのようにつくられたのかについても、ある程度の手掛かりを得られる場合があります。

購入前の住宅では、壁や天井を剥がして中を見ることは、基本的にはできません。
だからこそ、残されている図面は重要な情報になります。
同時に、確認済証や検査済証など、建築当時の書類が残っているかも確認します。

特に現在は、リノベーションの内容によって建築確認が必要になる場合があります。2025年4月の建築基準法改正以降、2階建て木造戸建て住宅などでは、主要構造部の一種以上について過半を改修するような大規模な修繕・模様替えを行う場合、建築確認手続きが必要になっています。

どんな工事をしたいのかによって必要な手続きは違いますが、購入後の可能性を考えるためにも、建物についてどんな資料が残っているのかを購入前に確認しておくことは大切です。





写真と築年数だけでは分からないことがあります。





もちろん、図面だけですべてが分かるわけでもありません。
私はできるだけ、実際の建物を見ることを大切にしています。

目視できる範囲で構造体の状態を確認し、水が入り込んだ形跡や木部の腐朽がないか、屋根から雨漏りした形跡がないか、窓まわりから漏水していないか、外部のシーリングが大きく劣化していないかなどを見ていきます。
床の傾きも一つの手掛かりです。
床に明らかな勾配があれば、単なる仕上げの問題なのか、構造体に変形があるのか、建物に不同沈下が起きている可能性はないか、といったことを考える必要があります。

築年数や写真だけを見て、「この家なら大丈夫」と判断することはできません。
実際に建物の中を歩き、床を踏み、見える範囲で構造や劣化の状態を確認する。
長く建物を見ていると、図面だけでは読み取れない、その建物がどのようにつくられ、どのように年月を重ねてきたのかが見えてくることがあります。





「この壁は取れますか?」は、見た目だけでは判断できません。





リノベーションの相談でよく出てくるのが、間取りをどこまで変えられるのかという話です。
「この壁を取って、リビングを広くできますか」
「キッチンをこちらへ移動できますか」
そんな希望があったとしても、壁を見ただけで取れる、取れないと判断することはできません。

在来木造住宅であれば、構造に関係しない間仕切り壁など、比較的変更しやすい部分もあります。

一方で、柱や筋交い、梁、基礎などが関係する場所では、構造全体を見ながら判断する必要があります。

条件によっては、建物の安全性を保ちながら筋交いの位置などを変更できる場合もありますし、希望した場所をそのまま変更することが難しい場合もあります。
これは購入前に「この壁は取れます」「取れません」と単純に振り分けるというより、既存の構造を読みながら、別の方法も含めて可能性を探していくものだと思っています。

リノベーションは、新築のように白紙から間取りを描く設計ではありません。

すでにそこにある建物を読み、その建物が持っているものを生かしながら、新しい暮らしを重ねていく設計です。









築年数は大切。でも、築年数だけでは決めない。





建てられた年代も重要な情報です。
建築基準法は時代とともに改正されているため、建築された時期によって、その住宅に適用された構造基準などが異なります。

たとえば耐震基準では1981年に大きな改正があり、さらに木造住宅については2000年に接合部などの規定が明確化されています。国土交通省も、1981年の新耐震基準以降に建てられた木造住宅のうち、2000年以前のものについて、リフォームなどの機会に接合部等の状況を確認することを推奨しています。

ただし、「何年以降なら安心」「何年以上ならやめた方がいい」と、築年数だけで判断できるものではありません。
どのようにつくられ、どのように維持されてきたのか。
そして、これからその家で何年暮らしたいのか。
30代の方がこれから何十年も暮らす住宅として購入するのか、別の目的で一定期間使うのかによっても、建物に求めるものは変わります。
築年数は、建物の良し悪しを決める数字ではなく、これからどのように手を入れて使っていくかを考えるための情報の一つだと思っています。





北海道では、「冬にどうなるか」も想像する。





北海道の中古住宅を見るときには、寒冷地ならではの確認も必要です。
特に難しいのは、夏に中古住宅を見ても、その家の冬の寒さは体験できないことです。
室内がきれいにリフォームされていても、断熱性能まで十分とは限りません。

図面が残っていれば、壁や屋根にどのような断熱材がどの程度入っているのかを確認します。窓の仕様や基礎まわり、目視できる範囲で結露の形跡がないかなども見ていきます。
これから長く住むのであれば、内装をきれいにするだけでなく、どこまで断熱性能を改善するのかということも、リノベーション全体の予算に大きく関わってきます。

見た目だけではなく、次の北海道の冬を、その家でどう過ごすことになるのか。
購入前からそこまで想像しておくことが大切です。





中古マンションなら、見るところは少し変わります。





中古住宅だけでなく、中古マンションを購入してリノベーションする場合も、基本的な考え方は同じです。
ただし、マンションでは自分の判断だけでは変更できない部分があります。

柱や床スラブなどの構造躯体、共用の配管、窓やサッシなど、専有部分と共用部分との関係を確認する必要があります。国土交通省の標準管理規約や標準管理委託契約書でも、専有部分と共用部分を区分して管理する考え方が示されています。実際にどこまで変更できるかは、それぞれのマンションの管理規約などを確認して判断します。

床や天井をどこまで変更できるのか、水まわりをどこまで移動できるのかといったことも、建物ごとに条件が違います。
マンションの場合も、購入してから「思っていたリノベーションができなかった」と分かるより、購入前にできるだけ条件を整理しておいた方が、住まいづくりの選択肢を考えやすくなります。





物件価格とリノベーション費用を、一緒に考える。





中古住宅を選ぶとき、もう一つ大切なのが予算です。
物件そのものにお金をかけすぎてしまうと、購入後に本当にやりたかったリノベーションまで予算が回らないことがあります。

反対に、安い物件を探すことだけを優先すると、構造や断熱、設備などに想像以上の改修費が必要になる場合もあります。

だから、中古物件の価格だけを見て「高い」「安い」と判断するのではなく、
物件価格とリノベーション費用を、最初から一つの予算として考える。

その家が持っている構造や性能、あとどのくらい使っていけそうなのか、自分たちは何を変えたいのか。

そこまで含めて考えると、「安い中古住宅を買う」ということとは少し違う見方ができるようになります。
中古住宅を選ぶことも、すでにリノベーションの設計の一部なのだと思います。





壁を開けて、初めて分かることもあります。





ここは、中古住宅のリノベーションを考えるうえで、あらかじめ知っておいてほしいところです。
購入前に専門家が見れば、すべて分かるわけではありません。
壁や天井の中、床下など、仕上げに隠れた部分は、実際に解体して初めて分かることがあります。
工事が始まってから想定していなかった状態が見つかり、設計や工事内容を調整しなければならないこともあります。
リノベーションには、どうしてもそうした不確定な部分があります。

だから購入前の調査は、「この建物には絶対に問題がありません」と言うために行うものではありません。

見られるところは見る。図面や書類から分かることを確認する。それでも分からない部分がどこに残っているのかを把握する。

そのうえで、この建物を購入することにどのくらいの可能性があり、どんなリスクが残っているのかを考える。

それが、購入前に建築家と一緒に建物を見る意味の一つだと思っています。





気になる中古住宅がある。その段階で相談していい。





「この物件を買うと決めてから相談しよう」
そう考える方もいると思います。

でも、購入したあとでは変えられないこともあります。

建物の構造も、敷地も、周辺環境も変えることはできません。

購入する前であれば、その物件を買って希望する暮らしができそうなのか、どのくらいの改修が必要になりそうなのか、別の物件も見た方がよいのかを一緒に考えることができます。
もちろん、短い購入検討期間の中ですべてを調べきれるとは限りません。

それでも、写真と価格だけを見て決めるのではなく、その建物をこれからの暮らしの器として使っていけるのかという視点を持つことで、中古住宅の見え方はずいぶん変わります。

気になる中古住宅や中古マンションがあるけれど、買ってよいのか分からない。
まだ購入を決めていない、その段階から相談してもらって構いません。

中古住宅を探すことと、その先の住まいを設計すること。
本来、この二つは別々のことではないと思っています。










|四分円階段をつなぐ家





既存住宅のリノベーションでは、すでにある構造や空間をすべて消してしまうのではなく、その建物が持っている条件を読みながら、新しい暮らし方を重ねていきます。
「四分円階段をつなぐ家」では、既存住宅に新しい空間のつながりをつくることで、以前とは異なる住まい方を生み出しました。
新築では最初から自由に決められることも、リノベーションでは既存の建物との対話から始まります。
その制約が、逆に新しい設計のきっかけになることもあります。
→ Works|四分円階段をつなぐ家









実例|六角形の家





「六角形の家」も、既存住宅を読み直すことから始まったリノベーションです。
既存の構造や敷地条件を見ながら、これからの暮らしに必要な空間を考えていく。
何もないところから形をつくるのではなく、すでにそこにあるものと新しい設計をどうつなぐのか。
そこには、新築とはまた違った面白さがあります。
→ Works|六角形の家














住まいを考える





住まいづくりについて、土地、光、窓、断熱、リノベーション、予算、暮らし方など、日々の設計を通して考えていることをテーマごとにまとめています。





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Before Buying a Used Home: Thinking About Renovation in Hokkaido





Buying an existing house or apartment and renovating it can offer possibilities that are difficult to find in a new-build project.
However, before purchasing, it is important to understand not only the price and appearance of the property, but also its structure, drawings and records, insulation, deterioration, legal conditions, and the extent to which the existing layout can be changed.
In Hokkaido, it is also important to consider how the building will perform during winter — something that may be difficult to understand when viewing a property in summer.
Not everything can be known before construction begins. Some conditions only become visible after walls, ceilings or floors are opened.
The purpose of examining a property before purchase is therefore not to eliminate every uncertainty. It is to understand as much as possible about the building, identify the remaining risks, and consider the purchase price and renovation cost as one overall budget.
If you have found an existing house or apartment that interests you but are unsure whether it is right for your future home, you do not need to wait until after purchasing it to speak with an architect.
Choosing the property can already be part of the design process.





Last Updated:2026.09.17







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