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2026.9.24 住まいを考えるブログ

住まいを考える|49|暑くなった北海道で、夏も心地よい家を考える。


私が住宅の設計に携わり始めてから、20年以上になります。

当時の札幌では、住宅にエアコンを付けることは、今ほど当たり前ではありませんでした。

暑さが少し気になるという方がいれば、「将来付けたくなったときのために、コンセントだけ用意しておきましょうか」という程度のことも珍しくありませんでした。

札幌で長く暮らしている方なら、夏は窓を開け、扇風機で涼んでいた記憶がある人も多いのではないでしょうか。
それが、この20数年でずいぶん変わりました。

近年は北海道でも暑い日が続き、年によっては夜になってもなかなか気温が下がらず、エアコンがなければ寝苦しいと感じることもあります。実際、これまで設計した住宅でも、以前より夏の暑さを感じるという話を聞くようになりました。

新しく家を建てる方からも、エアコンを設置することを前提に考えてほしいという要望が、かなり増えています。

北海道の住宅では、これからも冬の寒さへの備えが大切です。
ただ、「北海道の家は、冬に暖かければいい」というだけではなくなってきた。
長く北海道で住宅を設計していると、そんな変化を感じています。





断熱性能が高ければ、夏も涼しいのでしょうか。





高断熱・高気密の住宅は、外の気温の影響を受けにくくするという意味では、もちろん夏にも有利です。
ただし、断熱性能が高ければ、それだけで夏も涼しくなるわけではありません。
大きな窓から強い日射が入り続ければ、高断熱の住宅でも室温は上がります。むしろ中にためた熱を逃しづらくなる場合もあります。
だからこそ、断熱性能を高めることと合わせて、夏の日射をできるだけ室内へ入れないことが大切になります。

北海道では、冬の太陽はありがたい存在です。

冬は太陽高度が低くなるため、窓から日射を取り込むことで室内の暖かさに生かすことができます。一方、夏は太陽高度が高くなりますから、庇などを利用して日射を遮ることができます。

冬には取り込み、夏には遮る。

どちらか一方だけではなく、一年を通した太陽との関係を考えることが、北海道の住宅ではより大切になってきたと思います。

高断熱・高気密住宅については、以前の記事でも詳しく書いています。





→ 住まいを考える|09|高断熱・高気密住宅とは?性能も、暮らしも、大切にすること









夏の暑さは、エアコンだけで解決するものではありません。





現在の北海道では、冷房設備の力を借りることも現実的に考えておく必要があります。

ただ、暑くなったからエアコンを付ければ終わり、ということでもないと思っています。
冷房する前に、建築の側でできることがあります。

窓の位置や大きさ、庇の出、袖壁、ルーバーや外付けのスクリーン。植栽も日射を調整する方法の一つです。
たとえば落葉樹であれば、夏には葉が茂って日差しを和らげ、冬には葉を落として太陽の光を通してくれます。
夏のためだけに特別なものをたくさん付け加えるというより、住宅をつくる一つひとつの要素を少しずつ整えていく。
その積み重ねによって、できるだけ夏の熱を室内へ入れないようにすることが、まずは大切だと考えています。





ガラスにも、日射を取り込むものと抑えるものがあります。





窓ガラスにも、いくつかの選択肢があります。
現在一般的に使われるLow-E複層ガラスにも、太陽の日射熱を取り込みやすいタイプと、室内へ入る日射熱を抑えるタイプがあります。
たとえば南側では、冬の低い太陽の日射を生かしながら、夏の高い日射を庇などで遮る。一方、太陽高度が低く庇では遮りにくい西日などに対しては、日射を抑えるガラスを使うという考え方もあります。

ただし、私たちの設計では、方角だけで機械的にガラスを決めているわけではありません。
敷地によって周囲の建物も違えば、見たい景色も違います。窓の大きさや庇の有無によっても条件は変わります。
そして、ガラスは性能だけではなく、そこから景色を見るものでもあります。
Low-Eガラスは種類によって色や透明感にも違いがあります。
方位によってガラスを使い分けることもあれば、室内外から見た色や透明感を考え、あえて種類を揃えることもあります。
性能だけを追いかけるのではなく、そこから何が見えるのか、その窓が空間の中でどんな存在になるのかまで含めて決めています。





西日は、できるだけ室内へ入れない。





日射の中でも、特に気をつけているのが西日です。
夕方になると太陽高度が低くなるため、西側の窓には日差しが直接入りやすくなります。庇だけでは遮りにくく、夏の室温を上げる原因にもなります。
そのため、私たちの設計では西日をなるべく室内へ入れないように考えることが多くあります。
ただ、これも「西側には窓をつくらない」というルールがあるわけではありません。

そこに見たい景色があるかもしれませんし、敷地や隣家との関係から、西側の窓に意味が生まれることもあります。
その場合には、窓の位置や大きさ、ガラス、外部の遮蔽物など、別の方法を組み合わせて考えます。

住宅の窓は、暑さだけで決めるものではありません。
光や景色、プライバシー、冬の暖かさまで含めて、その場所に窓をつくる意味を考えています。
窓と方角については、こちらの記事でも詳しく書いています。





住まいを考える|11|北向きの窓は暗いのでしょうか





冷たい空気と暖かい空気は、家の中で動いています。





エアコンを設置する場合も、単に壁の空いているところへ付ければよいわけではありません。
特に吹抜けや上下階がつながった住宅では、家の中で空気がどう動くかを考えます。
暖かい空気は上部に集まりやすく、冷たい空気は下部に集まりやすい性質があります。

たとえば吹抜けに面した1階のリビングだけを冷やすのであれば、それで十分な場合もあります。一方、2階のホールなども含めて一つの冷房で温度を整えたい場合には、シーリングファンなどで空気を動かし、上下の温度差を小さくすることも考えられます。
また、夏は1階と2階でも環境が同じではありません。2階は屋根からの熱の影響も受けやすく、1階より暑くなりやすい傾向があります。

弊社で採用することの多い基礎断熱の住宅では、床下も断熱された空間の内側として考えています。実際に設計した住宅でも、夏は1階の方が比較的温度が安定し、過ごしやすいと感じることがあります。

こうした上下階の違いや間取り、吹抜け、家族の住まい方を見ながら、エアコンをどこに設置するのか、どこまで冷房するのかを設計段階から考えていきます。

エアコンの設置を希望される方は、以前と比べてかなり増えました。
ただ、何台必要か、どの部屋に必要かは、それぞれの住宅によって違います。
設備だけを先に決めるのではなく、家そのものと冷房を一緒に考えることが大切です。









窓を開けるだけではなく、熱がどう動くかも考える。





北海道の夏には、今でも窓を開けると気持ちのよい日があります。
そんな日は、自然の風を利用るのも大事と思います。

ただし、外気そのものが暑ければ、窓を開けても涼しくはなりません。住宅街では、プライバシーや防犯のため、いつでも窓を開けられるとも限りません。
そこで通風とともに考えているのが、家の中で暖められた空気の動きです。
暖かい空気は上へ向かいます。吹抜けの上部や2階の天井付近、ハイサイドなど、家の高い位置には熱が集まりやすくなります。
そこで、そうした高い位置から排気し、比較的低い位置から外気を取り入れるように換気を計画することで、温度差によって生まれる空気の動きも利用しながら、上部にたまった熱を外へ排出しやすくすることができます。
窓の配置によって同様の動きを利用する場合もあります。

機械の力だけではなく、熱が自然にどう動くのかを考えて、建築や換気の計画に利用する。
これも、夏の住環境を整える方法の一つです。





北海道の家だから、夏のことまで考える。





私が設計を始めた頃には、北海道の住宅で冷房をここまで考える時代になるとは、あまり想像していませんでした。
それでも、住宅はこれから何十年と使われていきます。
今の北海道で家をつくるのであれば、昔の気候だけを前提に設計するわけにはいきません。

暑い日には、エアコンの力も借りる。その前に、夏の日射をできるだけ室内へ入れないようにする。自然の風を使える日には風を取り込み、換気や吹抜けでは熱の動きも利用する。
そして冬になれば、高い断熱性能と、今度は太陽から得られる熱を生かして暖かく暮らす。

夏と冬を別々に考えるのではなく、その間にある春や秋も含めて、一つの家として考える。

北海道の冬を知っているからこそ、夏のことまで考える。

一年を通して心地よく暮らせることが、これからの北海道の住まいには、ますます大切になっていくと思います。










この考え方から生まれた住まい|北窓の家





「北窓の家」では、北側に大きな窓を設けています。

一般に北向きの窓というと「暗いのでは」と思われがちですが、直射日光が入りにくい北側からは、比較的安定した光を取り込むことができます。

一方、南側からの光も建物を雁行させるなどで室内へ必要量を取り込んでいます。

どの方角に大きな窓を設けるかを、単純に「南だから良い」「北だから悪い」と決めるのではなく、敷地の周辺環境や景色、季節による太陽の動きまで考えて窓を配置した住宅です。

夏のためだけに設計した住宅ではありません。
けれど、どこから光を取り込み、どこからの日射を抑えるのかを考えることは、一年を通して心地よい住宅をつくることにつながっています。

Works|北窓の家














住まいを考える





住まいづくりについて、土地、光、窓、断熱、雪、予算、暮らし方など、日々の設計を通して考えていることをテーマごとにまとめています。
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Designing Comfortable Homes for Hokkaido’s Warmer Summers





When I began designing houses more than twenty years ago, air conditioning was not considered essential in most homes in Sapporo. In many cases, we simply provided an electrical outlet in case the homeowners wanted to install an air conditioner in the future.
That has changed considerably.
Today, more homeowners expect air conditioning to be part of their home, and summer comfort has become an important consideration in residential design in Hokkaido.
However, comfortable summer living is not created by air conditioning alone.
Window orientation, eaves, exterior shading, glazing, vegetation, ventilation, and the movement of warm and cool air through the house can all influence the indoor environment. At the same time, these decisions must also work during Hokkaido’s cold winters, when solar heat can be beneficial.
Rather than designing separately for summer and winter, we consider the house as one environment throughout the year.
For homes in Hokkaido today, understanding winter is still essential — but so is designing for summer.





Last Updated:2026.09.17


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