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2026.7.24 住まいを考えるブログ

住まいを考える|03|自然光を設計するということ


光は、その土地だけが持つ財産です





住まいを考えるとき、多くの方は間取りやデザインから思い浮かべるかもしれません。
しかし、私たちが設計の初期段階で最も大切にしているものの一つが「自然光」です。
同じ住宅が存在しないように、同じ光も存在しません。
方位。
周囲の建物。
樹木。
高低差。
街並み。
季節や時間。
敷地が変われば、その場所に流れる光も必ず変わります。
だから私たちは、建物を考える前に、その土地に流れる光を読みます。
自然光は設備ではつくることのできない、その土地だけが持つ財産だからです。










人は、生物だから光を必要とします





私たちが自然光を大切にしている理由は、「明るい家をつくりたい」からではありません。
人は生物です。
朝、太陽が昇り、夜になると日が沈む。
その繰り返しの中で体内時計が整い、朝の光を浴びることで脳内ではセロトニンが分泌され、心身のリズムが整うと言われています。
また、日光はビタミンDの生成にも関わるなど、健康を支える大切な役割も担っています。
住まいに自然光を取り入れるということは、単に部屋を明るくすることではありません。
人が健やかに、心地よく暮らすための環境を整えることでもあると私たちは考えています。














明るければ良いというものではありません





「明るい家にしたい。」
家づくりでは、とても多くいただくご要望です。
もちろん、それは大切なことです。
しかし近年、北海道でも温暖化の影響により、夏はエアコンが欠かせない日が増えてきました。
以前のように「南に大きな窓を設け、たくさん光を取り入れる」だけでは、快適な住まいとは言えなくなっています。
夏は暑くなりすぎないか。
家具や床は日焼けしないか。
隣家からの視線は気にならないか。
冬には十分な日射熱を取り込めるか。
だから私たちは、光を入れることだけではなく、光をコントロールすることを大切にしています。
軒や庇。
シェード。
窓の向き。
ガラスの性能。
季節によって変化する太陽高度。
その土地に合った方法で、必要な場所には光を届け、抑えるべき場所では光を和らげる。
そのバランスを丁寧に考えることが、これからの住まいづくりにはますます重要になると考えています。










光は「つくる」のではなく、「読む」





建築家の仕事は、窓を増やすことではありません。
その土地に流れる光を読み、その場所に最も心地よい形で暮らしへ届けることです。
北側に森が広がる敷地では、南側の強い直射日光ではなく、北側から届くやわらかく安定した光を積極的に取り入れることがあります。
住宅が建て込む街では、吹抜けや高窓を利用し、壁や天井へ光を反射させながら、住まいの奥まで自然光を導くこともあります。
方法は敷地ごとに異なります。
大切なのは、大きな窓をつくることではありません。
その土地にしかない光を見つけ、その魅力を暮らしへ届けること。
それが、私たちの考える設計です。










光を設計するということは、影を設計するということ





光があれば、必ず影が生まれます。
建物は、すべてが均一に明るければ豊かになるわけではありません。
読書に集中できる少し落ち着いた場所。
木漏れ日が揺れる窓辺。
午後にはやわらかな陰影が壁に映るリビング。
光と影が織りなすグラデーションがあることで、空間には奥行きや落ち着きが生まれます。
私たちは、明るさだけを求めるのではなく、心地よい影も大切な設計要素だと考えています。
光を設計するということは、影を設計するということ。
その陰影が、その場所だけの豊かな時間を育てていきます。














その土地でしか出会えない時間を設計する





住まいは、完成した瞬間が一番美しいのではありません。
そこで暮らす人の時間が積み重なり、その家だけの風景が育っていくことで、本当の魅力が生まれるものだと考えています。
朝、やわらかな光で自然と目が覚めること。
窓辺に映る木漏れ日から季節を感じること。
夕暮れになると、自然光がゆっくりと照明へ役割を譲っていくこと。
そんな何気ない時間の積み重ねが、「この家で暮らして良かった。」という記憶になっていきます。
私たちは、光を設計しているのではありません。
その土地に流れる光を読み、その土地でしか生まれない時間を設計しています。
その考え方は、それぞれの敷地、それぞれの住まいの中で、さまざまな形となって表れています。










この考え方を取り入れた住まい





〔集光の家〕
住宅密集地という条件を読み解き、吹抜けや反射光を利用して住まいの奥まで自然光を届けました。光そのものを住まいの中心に据えた計画です。
〔森へひらく家〕
森から届くやわらかな自然光と風景を取り込み、高低差を生かしたスキップフロアと高窓によって、時間とともに表情が変わる光を住まい全体へ導いています。
〔斜光のガレージハウス〕
都市部の限られた条件の中で、斜めから差し込む自然光を丁寧に読み解き、ガレージを含めた住空間へ心地よく届けることを目指しました。
〔北窓の家〕
北側の安定した自然光を積極的に生かし、吹抜けや立体的な空間構成と組み合わせることで、一日を通してやわらかな光に包まれる住まいを実現しています。










English





Natural light is one of the most valuable qualities of a site.
Rather than simply making rooms brighter, we begin every project by understanding how daylight moves across the land and through the seasons. By carefully balancing light and shadow, we create homes that support well-being, enrich everyday life, and allow each place to develop its own unique character over time.
Last Updated:2026.07.15


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