住まいを考える|36|1階リビングと2階リビング、どちらが良いのでしょうか
1階リビングにも、2階リビングにも、それぞれ良さがあります
家づくりを考え始めると、
「1階リビングがいいですか?」
「2階リビングの方が明るいですか?」
というご質問をいただくことがあります。
結論から言えば、どちらにも良さがあり、どちらが正解ということはありません。
私たちも、「必ず1階リビングをご提案する」「2階リビングが好き」という考え方はしていません。
大切なのは、その敷地で、そのご家族がどんな暮らしをしたいのかということです。
私たちは、まず敷地を読みます
以前設計させていただいた「集光の家」では、最初にご提案したのは2階リビングでした。
周囲には建物が建ち並ぶ市街地。
敷地いっぱいに建物を計画しながらも、光を十分に取り込みたい。
そこで2階にリビングを設け、南側に大きなテラスを設けることで、周囲から距離を確保し、自然光がたっぷり入る住まいをご提案しました。
その時点では、その敷地に対する最適解だと考えていたプランです。

打ち合わせを重ねることで、答えが変わることがあります
しかし、お打ち合わせを重ねる中で、ご家族の暮らし方や将来のことを一緒に考えていくうちに、計画は1階リビングへと変わっていきました。
私たちは、最初にご提案した案がそのまま建物になることは、実はそれほど多くありません。
お話を伺い、ご家族の価値観や暮らし方を一緒に整理していく中で、よりそのご家族らしい答えへと少しずつ育っていくことが多いのです。
もちろん、1階リビングに変わったからといって、光を諦めたわけではありません。
「どうすれば1階リビングでも心地よい光を取り込めるか。」
そこが、この住まいの新しいテーマになりました。
ハイサイドライト。
吹き抜け。
三層に積み重ねた窓。
光を反射する壁。
様々な工夫を重ねながら、街中でも明るく開放的な1階リビングを実現しています。


1階リビングには、暮らしやすさがあります
1階リビングの魅力は、毎日の暮らしやすさです。
買い物から帰ってきて、そのままキッチンへ。
庭とのつながり。
お子さんが外で遊ぶ様子。
将来、年齢を重ねた時の生活動線。
毎日積み重なる小さな動作が、自然で負担の少ない住まいになります。
毎日のことだからこそ、その積み重ねは意外と大きな違いになります。
2階リビングには、その敷地だからこその魅力があります
一方で、2階リビングだからこそ得られる価値もあります。
街並みを越えて空まで視線が抜けること。
隣家からの視線を避けながら大きな窓を設けられること。
安定した自然光を取り込みやすいこと。
敷地条件によっては、1階よりもずっと豊かな空間になることがあります。
特に都市部では、2階リビングが最適解になるケースも少なくありません。
2階リビングのデメリットも、設計でできるだけ小さくします
もちろん、2階リビングには階段を上り下りするという負担があります。
買い物から帰ってきて荷物を運ぶこと。
毎日何度も階段を行き来すること。
こうした動作は、1階リビングより増えることになります。
だから私たちは、2階リビングをご提案する場合でも、その負担をできるだけ小さくする工夫をあわせて考えます。
例えば、階段の勾配を無理なく自然に上り下りできるよう計画すること。
玄関から階段までの距離をできるだけ短くし、2階のLDKへ最短でアクセスできる動線とすること。
買い物帰りの荷物の運びやすさや、毎日の生活動線まで含めて設計します。
2階リビングを選ぶのであれば、その魅力を十分に生かしながら、不便さはできるだけ感じない住まいを目指します。
1階リビングでも2階リビングでも、それぞれの長所を伸ばし、短所を補うことも設計の大切な役割だと考えています。
大切なのは、「どちらが優れているか」ではありません
住宅雑誌やインターネットでは、「1階リビングのメリット」「2階リビングのメリット」と比較されることがよくあります。
もちろん、それぞれに長所があります。
でも私たちは、優劣を比べるものではないと考えています。
敷地が違えば、答えも変わります。
家族が違えば、答えも変わります。
将来の暮らし方が違えば、答えも変わります。
だから私たちは、「リビングを何階にするか」から設計を始めることはありません。
私たちが設計しているのは、リビングではなく暮らしです
設計とは、最初から答えを決める仕事ではありません。
一緒に選択肢を広げ、ご家族にとって最も納得できる答えを探していく仕事だと考えています。
1階リビングにも、2階リビングにも、それぞれ魅力があります。
私たちは、その魅力を最大限に生かしながら、不便さはできるだけ感じないよう工夫することも設計の大切な仕事だと考えています。
リビングを1階にするのか。
2階にするのか。
それは設計の出発点ではありません。
そのご家族にとって、どんな暮らしが心地よいのか。
その答えを探していった先に、1階リビングという答えが生まれることもあれば、2階リビングという答えが生まれることもあります。
私たちは、リビングを設計しているのではなく、どう暮らすかを主題としています。

この考え方から生まれた住まい
集光の家
当初は2階リビングをご提案しましたが、お打ち合わせを重ねる中で1階リビングへと発展した住まいです。設計の途中で答えが変わることも、大切な設計プロセスの一つだと考えています。
街景の家
高台という敷地条件を生かし、2階リビングから街並みや遠景へ視線が抜ける住まいです。その土地だからこそ得られる眺望と自然光を最大限に取り込んでいます。
双奏の家
敷地条件や暮らし方を丁寧に読み解き、生活動線と自然光のバランスを考えながら計画した住まいです。リビングを何階に置くかではなく、そこでどんな時間を過ごすかを大切に設計しています。
Summary (English)
There is no universal answer to whether a first-floor or second-floor living room is better. We study each site, each family’s lifestyle, and future needs before deciding. The goal is not to choose a floor, but to design the most comfortable way of living while maximizing the advantages and minimizing the disadvantages of each solution.
Last Updated:2026.07.28