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2026.8.18 住まいを考えるブログ

住まいを考える|33|北海道のガレージハウスで大切なこと。


北海道では、ガレージも暮らしの一部です





北海道、特に札幌のような積雪地域で暮らしていると、車と雪の問題は切り離せません。
朝、車の上に積もった雪を下ろす。
車の周囲を除雪する。
吹雪の翌朝には、まず車を出せる状態にするところから一日が始まることもあります。
ガレージがあれば、こうした負担を大きく減らすことができます。
大切な車を雪や風雨から守り、きれいな状態で保管できることも大きなメリットです。
北海道は車で移動する機会も多く、ガレージから直接住まいへ入ることができれば、買い物の荷物を運んだり、子どもを車から降ろしたりするときにも便利です。
冬タイヤや除雪用品、スキー、自転車、アウトドア用品など、北海道の暮らしで増えがちなものを収納する場所にもなります。
ガレージは単に車をしまう箱ではなく、北海道の暮らしを支える場所の一つになり得ます。









ガレージ、カーポート、屋外駐車





もちろん、車を駐車する方法はガレージだけではありません。
屋根を掛けるカーポートもありますし、屋外駐車という選択もあります。
それぞれに、コストと得られるものが違います。
四方を壁で囲い、屋根をつくり、大きなシャッターを設けるガレージは、住宅の中でも相応の面積と建築費が必要になります。
一方、カーポートであればコストを抑えながら、車への積雪をかなり防ぐことができます。
では、どこまでつくるのか。
これは単純な優劣ではなく、車とどんな暮らしをしたいのかで変わります。
雪から車を守りたい。
除雪の負担を減らしたい。
大切な車を風雨にさらしたくない。
休日には車を整備したい。
好きな車を眺めながら過ごしたい。
そのどれもが、ガレージをつくる十分な理由です。
車を移動のための道具として考える人もいれば、車そのものが趣味であり、暮らしの楽しみである人もいます。
だから、まず考えたいのは「ガレージが必要かどうか」ではなく、自分たちが車とどんな距離で暮らしたいのかということです。









車を停めてから、家に入るまで





ガレージハウスを設計するとき、私たちは車を停める場所だけを見ているわけではありません。
道路から敷地へ入り、シャッターを開ける。
車を停める。
ドアを開け、荷物を降ろす。
靴を脱ぎ、コートを掛ける。
買ってきた食品をキッチンへ運ぶ。
毎日の暮らしでは、すべてが一つの動作としてつながっています。
特に北海道では、それが雪や寒さの中で行われます。
ガレージから一度外へ出なければならないのか。
そのまま玄関へ入れるのか。
キッチンや食品庫までどうつなぐのか。
冬タイヤや除雪用品をどこに置くのか。
車のドアを開けたとき、人が無理なく通れる余白があるのか。
車をどこに置くかではなく、車で帰ってきてから家の中までをどうつなぐか。
ガレージも住まいの動線の一部として考えることで、日々の使いやすさは大きく変わります。





ガレージの上の部屋を、寒くしないために





札幌でガレージハウスを設計するとき、特に気をつけたいことがあります。
ガレージと居住空間の間の断熱です。
札幌では以前から、1階をガレージ、2階や3階を居住空間とする住宅が多くつくられてきました。
そうした住宅で暮らした経験のある方なら、冬になると「ガレージの上の部屋は足元が冷える」と感じたことがあるかもしれません。
ガレージには大きなシャッターがあり、一般的な住宅の外壁や窓と同じ断熱・気密性能を期待できる場所ではありません。
つまりガレージを建物の中へ組み込むことは、外気に近い空間を、建物の形の中へ食い込ませることでもあります。
そのすぐ上に居室がある。
隣にリビングがある。
そう考えると、ガレージに接する床や壁の断熱が重要になることが分かります。
どこを断熱境界とするのか。
床や壁にどれだけの断熱性能を持たせるのか。
気密をどう連続させるのか。
熱が逃げやすい部分をどう処理するのか。
北海道で長く住宅を設計してきた中で、私たちもこうしたガレージハウス特有の断熱・気密について検討を重ねてきました。
ガレージがあるから、家が寒い。
それでは、北海道のガレージハウスとして十分ではありません。
雪国でガレージの便利さを得ながら、その上や隣の居住空間はきちんと暖かくする。
ここは、北海道でガレージハウスをつくるうえで、とても大切な設計のポイントです。





車を「しまう」のか、車と「暮らす」のか





これまで何件ものガレージハウスを設計してきました。
その中には、車を単なる移動手段ではなく、暮らしの楽しみの一つとして大切にされている方も多くいらっしゃいます。
休日に車を整備する。
工具を並べる。
好きなものを壁に飾る。
音楽を聴きながら、車を眺めて過ごす。
ガレージに水場を設け、自分の作業場のように使われている方もいます。
リビングとガレージの間をガラスで仕切り、室内から愛車を眺められるようにすることもあります。
そうすると車は、別室にしまわれたものではなく、ある意味ではインテリアの一つになります。
ガラス越しに視線が抜けることで、ガレージの広さも室内空間の一部として感じられます。
一方で、車と過ごす時間を大切にするからこそ、居住空間とは少し距離を置き、自分だけの場所としてガレージをつくる考え方もあります。
ガレージを、どこまで住まいに近づけるのか。
車とガレージと人。その三つをどんな距離に置くのか。
そこに、その人らしいガレージハウスが表れるのだと思います。









ガレージを付けるのではなく、車との暮らしを設計する





ガレージは、住宅の中でも大きな場所を占めます。
道路との関係、玄関やキッチンへの動線、収納、建物の形、外観、そして断熱性能にも影響します。
だから、住宅の間取りを考えた最後に「ここへガレージを付けよう」と考えるより、最初から住まい全体の一部として考えたい。
敷地への車の入り方。
雪の積もり方や除雪。
人の動線。
収納。
断熱と気密。
そして、ガレージで何をしたいのか。
車を大切に保管する場所でもいい。
北海道の冬を楽にする場所でもいい。
休日を過ごす、自分だけの場所でもいい。
リビングから愛車を眺められる場所でもいい。
ガレージハウスという同じ言葉でも、そこで実現したい暮らしは人によって違います。
ガレージを付けるのではなく、車とどう暮らしたいのかを設計する。
北海道のガレージハウスでは、そのことを大切にしたいと考えています。










この考え方から生まれた住まい





斜光のガレージハウス
ガレージを建物全体の構成に組み込み、敷地条件や居住空間との関係まで一体として考えた住まいです。
双奏の家
住まいとガレージ、それぞれの楽しみを一つの建築の中へ。車をしまうだけではなく、車と過ごす時間も暮らしの一部として考えています。
集光の家
都市の敷地条件の中で、ガレージを含む機能と居住空間、光やプライバシーを一体として計画した住まいです。










住まいを考える





「住まいを考える」は、住まいづくりにまつわる考え方や設計の工夫を、一つひとつテーマごとにまとめたシリーズです。
「住まいを考える」一覧はこちら










English Summary





Designing a Garage House for Life in Hokkaido





In Hokkaido, a garage can be much more than a place to park a car. It protects vehicles from snow and harsh weather, reduces the burden of winter maintenance, and can become a place to enjoy cars as part of everyday life. Designing a garage house in a cold climate also requires careful consideration of insulation, airtightness, circulation, storage and the relationship between the garage and living spaces. Rather than simply adding a garage to a house, we believe in designing how people want to live with their cars.





Last Updated|2026.08.12


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